Implant

インプラント

CT画像を利用した
3Dシミュレーション分析による口腔外科専門医によるインプラント治療


インプラント治療は、歯を失った顎の骨にチタン製のスクリューを埋め込んで歯を作る“外科”治療です。

インプラント治療を行う歯科医師は、硬組織や軟組織を扱う歯周外科や口腔外科の基礎的な“外科”手術手技に習熟していること、さらに術前、術中、術後の周術期管理(患者さんの全身状態、局所状態の管理)のスキルも必要です。例えば、術前の全身状態・常用薬の評価、抗菌剤の予防投与、術後合併症(発熱、創部の異常出血、創部の感染、縫合不全)への対応など、様々な状況に対処できる経験や知識を習得していなければなりません。このような手術手技や周術期管理は、“口腔外科”での研修で習熟することが可能です(口腔外科専門医の取得)。

当院の院長は、東京医科歯科大学歯学部附属病院ならびに関連病院の歯科口腔外科にて15年間に渡り抜歯や歯槽部手術、顎骨手術など数多くの“外科”治療の経験してまいりました。そして、この経験を活かして“口腔外科専門医”としてインプラント治療を行ってまいりましたが、近年、歯科用CTスキャンによる画像診断を取り入れることで、さらに正確かつ安全にインプラント治療を行うことが可能となりました。

インプラント治療を選択された患者さまの症例

この患者様は、数年前に右下にブリッジを入れました。しばらくは、自分の歯と同じように何でも咬むことが出来ましたが、ある日同じように咬むと一番奥歯に激痛が走りました。しばらく様子を見ていると痛みのある歯の歯肉が腫れてきました。また、疲れるとその歯が浮いたような状態になり、しっかり咬むことが出来なくなり、当院を受診されました。

レントゲンを撮ると、黄色の矢印のようにブリッジの支台となる歯とブリッジが外れ、歯の一部が破折していました。恐らく咬む力で支えとなる歯根が割れてしまったと考えられます。歯根が破折してしまうと、破折したところから細菌が侵入して感染が起こり、痛みや歯肉が腫れて化膿が生じます。飲み薬や付け薬で多少症状は取れますが、このような歯根破折を生じた歯は一般的に抜歯になります。(当院では、歯根破折の状況によっては、口腔外接着再植法を行う場合もあります。この場合は、歯が残されます。)

この患者様は奥歯を抜歯することになりました。ブリッジを外して、奥歯を抜歯した状態です。大臼歯2本がないため、固いものを噛み砕き、すりつぶすことができません。反対の歯でかむことが多くなり、負担が増えます。歯を入れるためには、義歯またはインプラント治療のどちらかで、ブリッジによる治療はできませんでした。

今回、この患者様はインプラント治療を選択しました。その理由は、もともとあったブリッジのようにしっかり咬めて、自分の歯のように無意識でいられる自然さを期待したからです。また、自分の歯が多く残っており、義歯のように毎食後取り外す不便さは受け入れられませんでした。

CT画像を用いた3Dシミュレーション分析によるインプラント治療の実際

ステントの作成

歯型を取り、模型上でレジンというプラスチックで作られたダミーの歯を作ります(ステントの作成)。


そしてこのダミーの歯を口腔内に入れて、上の歯とかみ合わせて、理想的な位置にあることを確認します。

3Dシミュレーション分析

このステントを口腔内に入れて、歯科用CTを撮影します。その画像データを用いてコンピューター上で3Dシミュレーション分析を行います。埋入するインプラントの形態(直径と長さ)を決定します。さらに埋入方向や神経・血管の位置を確認します。

1次手術

この3Dシミュレーション分析から得られた情報をもとに、実際の手術を行います。1次手術では、決定したインプラント体を顎の骨に埋め込みます。

術後に歯科用CTを撮影し、術前の3Dシミュレーション通りにインプラントが埋入されているか確認します。

予定通りのインプラント手術が行われました。今後、インプラントと骨がしっかりと骨接合するまで、約2か月間経過観察を行います。

アバットメント

2か月後、2次手術では、インプラント体のカバースクリューを外して、ヒーリングアバットメントと呼ばれる円柱状の被せを装着します。歯肉は切開し外側にずらして縫合します。このことでインプラント周囲に固い歯肉が出来て、ブラッシングし易くなります。

術後1週間の傷の状態です。抜糸が終わりましたが、まだ歯肉が固まっておりません。

2次手術後3週経過しました。インプラントの周囲の歯肉は健康な状態となり、綺麗に再生しました。

インプラントの型取り

次に、かぶせ物を製作するためにヒーリングアバットメントを外して、 インプラントの型取りを行います。2次手術の傷が治癒してから、型取りを行い、技工士によりアバットメントとインプラント上部補綴物(かぶせ物)を製作します。

アバットメントと呼ばれるインプラント支台をスクリューにて固定したところです。

アバットメントの上に最終補綴物(かぶせ物)を被せた状態です。今回は、ハイブリットセラミック冠を装着しております。

咬み合わせ確認

上下の咬みあわせです。咬みあわせを調整し、違和感がない状態にします。

術前のステントを装着した写真(左)との比較です。シミュレーション通りの治療が出来ました。

メインテナンスと定期健診

今後、装着後の数カ月は、1カ月ごとに咬みあわせのチェックとブラッシング指導を行っていきます。自分の歯のように、違和感なく咬めるようになるには、約3ヶ月かかります。その頃になると、咬む力ももとにもどり、インプラントに咬む力が過剰にかかっていないかチェックが必要です。

また、ぺリオテストと呼ばれる歯やインプラントの動揺を調べる検査も継続して行っていきます。ブラッシング指導では、インプラントと歯肉との間に汚れ(プラーク:歯垢)が溜まってないかチェックして、ホームケアでのブラシの仕方を習います。また、定期受診の際に歯科衛生士によるクリーニングも受けていただきます。ホームケアでは取りきれないプラークを専門の器具できれいに取り除きます。特に痛みはありません。

インプラントは、顎の骨から歯肉を貫通して出てくる人工の歯です。人工のものなので、細菌に対する抵抗力はありませんから、時にインプラント周囲炎(インプラントにプラークが付着し不潔となり、歯肉や骨に炎症が生じてインプラントがぐら付いてくる)が起きる場合もあります。口腔内には400種類以上の細菌が何百億もの数で生息しています。これら細菌からインプラントを守るには、正しいホームケア(インプラントに合った歯ブラシの使用)と定期受診による歯科医師や歯科衛生士による診察とクリーニングが大切です。

以上が一連のインプラント治療になります。
今回は、下顎の2本のインプラント治療で、抜歯からインプラントのかぶせ物が入るまで5か月間かかり、治療費は約70万円でした。インプラント治療は、治療期間、外科手術、保険適応外(自費診療)、メインテナンスなど考慮しなければならない重要なことがあります。

十分な説明を受けた上で、インプラント治療を選択してください。
そして、一生、自分の歯として大切に使用し、メインテナンスを受けてください。

インプラント治療の正しい理解のために

ブリッジの場合は歯を削りますが、
インプラントは顎の骨にドリルで穴を開ける外科治療が必要と聞きましたが・・・。
ブリッジは、隣同士の歯を削って、歯がないところに橋を架けるように歯を入れる治療です。インプラントは、歯がないところの顎の骨にドリルで穴を開けて金属(チタン)またはセラミックスで出来た支柱を立てて歯を作る治療です。どちらの治療も歯や顎に負担をかけることは避けられません。

ブリッジは、橋脚となる支台歯(支える歯)が咬む力に十分耐えられる構造になっていることが条件です。インプラント治療は、インプラントを埋入する骨がある程度しっかりしていなくてはなりません。また、ブリッジは、支える歯が虫歯や歯周病になったり、咬む力に耐えられず歯根破折が生じる場合があります(今回の症例)。

インプラントは、それ自体虫歯になることはありませんが、“インプラント周囲炎”と呼ばれる歯周病と同じ歯肉の炎症を生じることがあります。出血・腫れ・排膿(膿が出る)などの症状が出ます。粘膜を貫通しているインプラント周囲に食べかすやプラーク(汚れ)が付着して不潔な状態になることで発生します。気付かないで放置されると、インプラントを支えている骨が溶け始め、最終的にインプラントがぐらつき、せっかく入れたインプラントを取り除く必要が出てきます。これらは、十分なブラッシング指導や定期検診やクリーニングを受けることで避けられます。
インプラントの隣の歯が駄目になった場合、ブリッジによる治療ではなく、
再度、インプラントが必要になるケースがあると聞きましたが・・・・。
天然の歯は骨と歯根膜という薄い膜で結合していますが、インプラントは骨と直接接合しています。このように咬む力が顎に伝わる機構が異なるため、天然の歯とインプラントを連結することは避けられております。このためインプラントの隣の歯が駄目になった場合、ブリッジによる治療ではなく、インプラントが必要になることがあります。当院では、インプラントを入れる場所のとなりの歯の状態も十分に診査した上で、治療方針を決めております。
上下の歯の咬み合わせを見ると、片方が天然の歯で、片方がインプラントの場合、
天然の歯が先に駄目になるケースが多いと聞きましたが・・・
インプラント治療が終わって2~3ヶ月すると、インプラントの歯で自然になんでも咬めるようになり、咬む力がもとに戻ってきます。そのため、インプラントと相対する歯(天然歯)にも咬む力がかかってきます。この時期に咬む力の調整(咬合調整による)を行うことで、天然歯にかかる咬む力を軽減することが必要です。

当院では、患者様の大切な歯を末永く残せるように、独自のインプラントメインテナンスプロトコールを用いて定期検診を行っております。その中でインプラントと天然歯との咬む力をチェックし調整していきますので、天然の歯の方がダメになることはほとんどありません。

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