精密審美歯科2
2015.06.25
院長の大倉です。
今回は、前歯の審美障害を主訴に来院された方のケースです。
虫歯のハイリスク ((虫歯にかなりなりやすい方)) の方です。
虫歯の原因であるバイオフィルム(ここでは、歯垢のことをバイオフィルムと呼びます)が、歯の表面にしっかり付着して、歯ブラシでは取れない状態になってます。
いわゆる「ぬめり’」の状態です。
このぬめり=バイオフィルムは、口腔内細菌のかたまりで、日常で台所の排水口のぬめりと同じものです。
位相差顕微鏡で見ると細菌が活動している状態が観察できます。
今回の治療は、虫歯の再発予防と前歯の形と色を改善目的に行いました。
治療後です。
オールセラミックスクラウンという一切金属を使用しないセラミックスの被せ物で治しました。
歯の色は、患者様の希望で本来の歯の色より白く明るい色にしました。
歯の形と並びは、左右対称に近い形になりました。
歯肉からセラミックスへの立ち上がりもすき間がなく、より自然で歯肉と調和するように作製されました。
セラミックスの素材の特徴からバイオフィルムが付着してもはがれやすいために、二次虫歯(虫歯の再発)の予防効果にも期待できます。
このように精密審美歯科よる治療は、虫歯の再発リスクを軽減した予防歯科へつながる治療で、患者様にとってお口の健康を維持するベストな治療法と言えます。
歯根端切除術1(歯根のう胞)
2015.06.10
院長の大倉です。
今回は、上の前歯の根の先に膿がたまる病気=歯根のう胞についてです。
神経を抜いた前歯の根の先が、疲れたり寝不足だったり、風邪を引いて体の抵抗力が弱っている時に、うずく・腫れる・ニキビの様なできものができる・膿が出るなどの自覚症状がある方は、この「歯根のう胞」が疑われます。
この方は、左上の前歯の根の先に膿がたまり徐々に歯槽部が腫れてきました。
手術は、歯根のう胞摘出術です。
局所麻酔後、歯肉を切開し剥がします。
剥がすと歯肉が腫れていた所の骨面から歯根のう胞の一部が露出していました。
歯根のう胞を注意深く骨面から剥がして、摘出しました。
骨の空洞が出来ていることが分かります。
また、歯根の一部が見えています。
摘出された「歯根のう胞」です。
ご覧の通り、丸く赤い色を呈しており、触るとブヨブヨとしています。
中から膿のような内容物が出てきました。
のう胞に接していた歯根の根管を超音波にて汚染物質を除去し清潔になった所に、プロルートMTAセメントにて歯根の根の中の管を封鎖しました。
白く見えるのがそのセメントです。
創部を清拭後、コンマ数ミリの太さのナイロン糸で縫合です。
1週間後にばつ糸を行って経過観察します。
術直後から、小鼻がもちあがる程度の腫れが生じますが痛みはそれほどありませんでした。
口腔外接着再植法7
2015.06.04
院長の大倉です。
今回は、歯根が3分割された「歯根破折」のケースです。
術前は、やはり噛むと違和感や鈍痛があり、疲れると歯茎が腫れてくる症状がありました。
症状が出てから1年以上経過していましたが、このままではいずれ抜歯になってしまうため、「口腔外接着再植法」を行うことになりました。
術前の写真です。
右下5番目の被せ物が入っている歯です。
根の先の歯肉がやや腫れており、圧痛があります。
術前のレントゲン写真です。
歯根の一部が割れて、骨に透過像が現れています。
破折部から口腔内細菌が侵入し、炎症が起きている所見です。
実際に抜歯した歯根の状態です。
歯根が3分割されていました。
まず、保存液に浸した後、超音波にて汚染物質を除去します。
その後、一度組み立てて、歯がもとの状態になることを確認後、接着剤にて接着し復元します。
これが、3分割された歯根を復元した状態です。
歯根面を乾燥させない様に手早く接着してから口の中のもとの位置に戻します。
再植された歯を1ヶ月半ほど、固定します。
金属メッシュを補強材にして固定している状態ですです。
術後、1週間ほど硬いものは噛まないようにして頂きながら、その後は普通の食生活に戻れます。
術後後3ヶ月経過した状態です。
歯根付近の腫れはなくなり、食事の際、何でも噛むことができて、痛みも特にない状態です。
術後3ヶ月のレントゲン写真です。
レントゲン像からまだ歯根膜腔の拡大が見られますが、臨床症状はなく、ペリオテストと呼ばれる動揺度の検査で
は、数値が21から17と減少しており、何でも噛むことができるようになったとの事でした。