歯根嚢胞・意図的再植5
2017.04.01
院長の大倉です。
今回は、上顎臼歯部の歯根嚢胞のケースです。
CT画像から20mm大の嚢胞と上顎洞炎を認めます。
銀歯の歯が原因歯です。
抜歯しました。
根尖に肉芽組織を認めます。
根尖に付着した肉芽組織を除去し確認しました。
根管の閉鎖が十分ではありませんでした。
歯根端切除し根管内を洗浄しました。
再植直後の歯の状態です。
術後1年のCT画像です。
嚢胞があった所は骨で再生し、上顎洞炎も軽快し治癒しています。
上顎臼歯部の大きな歯根嚢胞の場合、上顎洞炎を併発しているケースが多く、治療法は原因歯の抜歯と嚢胞摘出が一般的ですが、これでは病気が治癒しても歯を失うことになります。
これからの医療は、歯を残せる可能性があれば、積極的に歯を保存して咀嚼機能を維持出来る方法を検討することが大切と考えます。
ただし、しっかり経過観察を行い適応症となる条件を見極めることが必要です。
口腔外歯根端切除逆根充法(意図的再植法) 2
2015.10.04
院長の大倉です。
今回は、歯根の状態がかなり悪く、一般的には抜歯となる状態の歯でした。
疲れると必ず歯肉が腫れて膿が出る。
噛むと違和感がありしっかりと噛むことが出来ないとのことでした。
レントゲン撮影から複数の根尖病巣が発生し、髄床底は穿孔しほとんど保存不可能に近い状態です(黄色矢印)。
今回は、この歯を症状を取り除き、再び嚙めることを目的に「口腔外歯根㟨切除逆根充法」を行いました。
抜歯前の状態です。
既に、歯冠部は取り除いております。
抜歯を行い、口腔外に取り出しました。
歯の状態です。
歯根の周囲には赤くなった炎症性肉芽組織が付着しております。
肉芽組織を取り除いて、根尖と穿孔部位を確認します。
超音波にて汚染物や感染歯質を完全に除去します。
接着材にて逆根充と穿孔部の完全封鎖しました。
抜歯窩の状態です。
肉芽組織を十分に掻爬した上で歯を元に戻します。
縫合糸で歯を固定します。
そしてコアを入れて冠を被せました。
現在、6ヶ月経過していますが順調で、違和感なく噛むことが出来ています。
歯根端切除術1(歯根のう胞)
2015.06.10
院長の大倉です。
今回は、上の前歯の根の先に膿がたまる病気=歯根のう胞についてです。
神経を抜いた前歯の根の先が、疲れたり寝不足だったり、風邪を引いて体の抵抗力が弱っている時に、うずく・腫れる・ニキビの様なできものができる・膿が出るなどの自覚症状がある方は、この「歯根のう胞」が疑われます。
この方は、左上の前歯の根の先に膿がたまり徐々に歯槽部が腫れてきました。
手術は、歯根のう胞摘出術です。
局所麻酔後、歯肉を切開し剥がします。
剥がすと歯肉が腫れていた所の骨面から歯根のう胞の一部が露出していました。
歯根のう胞を注意深く骨面から剥がして、摘出しました。
骨の空洞が出来ていることが分かります。
また、歯根の一部が見えています。
摘出された「歯根のう胞」です。
ご覧の通り、丸く赤い色を呈しており、触るとブヨブヨとしています。
中から膿のような内容物が出てきました。
のう胞に接していた歯根の根管を超音波にて汚染物質を除去し清潔になった所に、プロルートMTAセメントにて歯根の根の中の管を封鎖しました。
白く見えるのがそのセメントです。
創部を清拭後、コンマ数ミリの太さのナイロン糸で縫合です。
1週間後にばつ糸を行って経過観察します。
術直後から、小鼻がもちあがる程度の腫れが生じますが痛みはそれほどありませんでした。