抜かない治療 歯根破折 (VRF:Vertical Root Fracture)・口腔外接着再植法36
院長の大倉です。
今回も第2小臼歯の歯根破折のケースです。
左下第2小臼歯が半年前から違和感があり、前医にて歯根破折のため抜歯が必要と言われていました。
なんとか自分の歯を残したいと希望され来院されました。
レントゲン写真です。
垂直歯根破折を認めます。さらに歯根破折に沿って骨透過像を認めます。
今回も「口腔外接着再植法」にて歯を保存することになりました。
抜歯して歯根の状態を観察します。
垂直性歯根破折を認め、破折面は細菌により汚染されていました。
超音波にて洗浄します。
補綴物は再利用せず、新製することになりました。
破折片を元に戻して、ファイバーポストを利用してスーパーボンドにて接着します。
抜歯窩の炎症性肉芽組織を除去し、接着された歯根を元の位置に戻します。(再植)
隣の歯に固定します。
術後のレントゲン写真です。
術後約2ヶ月のレントゲン写真です。
歯根周囲の骨に再生が見られます。
さらに術後4ヶ月のレントゲン写真です。
初診時に見られた骨透過像は、縮小し骨再生を認めます。
最終補綴物を装着しました。
咬合時の違和感や鈍痛は認められず、咀嚼時も自然に噛めるとのことです。
このように、破折の程度が酷くても、歯根膜の状態や汚染された組織の除去により、骨の再生が始まり、すなわち再生の条件が整えられることで再び歯を機能させることが出来ました。
今後、長期的な予後を観察して行きます。