抜かない治療 歯根破折 (VRF:Vertical Root Fracture)・口腔外接着再植法35
院長の大倉です。
今年も宜しくお願いします。
今回は、第2小臼歯の歯根破折のお話です。
第2小臼歯の歯根破折のケースは、当院の破折治療の中で一番多く行われております。
それだけ、第2小臼歯の歯根破折の頻度が高いことを意味します。
第2小臼歯は咀嚼の中心に位置する歯のため、様々な硬さの食物を粉砕する役目を果たすことで、時に歯自体が欠けたり割れたり(亀裂や破折)することがあります。
右下第2小臼歯のケースです。
根管治療を行っても症状が消えない状態が続いていました。
レントゲン写真から根尖以外に側方にも透過像を認めます。
歯根破折の可能性が高いと判断し「口腔外接着再植法」を適応しました。
抜歯して口腔外にて歯根を観察しました。
歯根中央部に破折線を認めます。
炎症性肉芽組織の付着があり慢性炎症が続いていたことが分かります。
肉芽組織を除去し破折線を削り汚染されていた歯質も除去します。
破折線にスーパーボンドを流し込みます。
反対側の歯根面にも顕微鏡にて亀裂を認め同様に接着します。
根尖も閉鎖し、再植します。
術前術後のレントゲン写真を連続します。
6ヶ月経過したレントゲン写真から術前に見られた骨透過像も消失し症状も消えました。
治療前は、ロングブリッジが入っていたため歯根に無理な力がかかり歯根破折・亀裂が生じたと考えます。
根管治療だけでは解決出来ない問題を「口腔外接着再植法」にて解決し歯を保存することが可能となりました。