「口の中の粘膜や歯肉が炎症を起こしている状態」を「口内炎」といいます。
一般的に、口内炎と言うと「アフタ」と呼ばれるものです。
直径2~10mm程度の円形の痛みを伴う浅い潰瘍をいいます。 話をしたり、食事をしたりする時に、しみる、擦れると痛いなどかなり接触痛を伴います。1~2週間で治るアフタと、原因不明で何年も慢性的に繰り返す「再発性アフタ」があります。治療法は、対症療法が主でステロイド剤の含まれる軟膏を塗布したり、シール状のものを貼ったりします。また、レーザーをあてることで症状を緩和することも出来ます。特に症状の強い方は、ビタミン剤の内服、サプリメントの使用などで免疫力のアップを図り、再発を予防します。
生活上の注意としては、
- 口内を傷づけない歯ブラシの仕方。
- 虫歯と入れ歯、差し歯など、治療中の歯を放置しない。
- たばこ、アルコールの量を減らす。
- 口の中を清潔にする。うがい、歯磨き、フロス。
- 歯科医院で歯のクリーニングを定期的に受ける。
- 口の中を潤す。口腔乾燥注意。
- 食生活、栄養バランスのとれた食事。
- 疲労、ストレスを蓄積しない。
- 睡眠不足に注意。
- 歯ぎしり、くいしばりをしない。
以上を心がけましょう。
また、口の中の小さな傷、細菌感染、ウイルス感染、カンジタ菌感染、全身疾患で起こる場合、粘膜自体の病気、アレルギー、ホルモン異常、 ストレス、ビタミン欠乏、免疫異常など、様々な原因で口内炎が生じます。症状も様々で、アフタ性、カタル性、アレルギー性、ヘルペス性、カンジタ症、血液疾患に伴う口内炎、STD(性行為による感染症)、重症となる壊死性潰瘍性歯肉口内炎などがあります。
さらに、ただの口内炎と思っていたものが実は、口腔癌ということもあります。2週間以上も治らない口内炎は、一度、口腔外科専門医にご相談ください。
あなたの住まいのお近くの口腔外科専門医は、日本口腔外科学会HPの
http://www.jsoms.or.jp/public/machi/machi.html
で調べることが出来ます。是非、ご利用ください。
口内炎の種類
どんな時、顎関節症なの?
- 「物を噛むと、こめかみや耳の付け根が痛い」
- 「食事中にアゴがカクカク鳴って、食事がしづらい」
- 「突然、口を開けようとしたら、開かなくなった」
- 「以前から痛みや音がしていたが、最近ギシギシとした変な音になって来た」
- 「食べ物を噛んでいたり、人としゃべったりしているとアゴがだるくなる」
このような症状があれば、「顎関節症(がくかんせつしょう)」です。口を思いっきり開けて、指が縦に3本入れば問題ありません。
指が3本入らない。
口を開けたり、閉じた時にガクンと音がした。
物を噛むとこめかみが痛い。
「顎関節症」の疑いがあります。
どんな病気なの?
顎関節は、下アゴの関節で、左右の耳の穴の前に位置しています。障害を受けた組織(ダメージをうけた部分)によって、診断や治療が異なります。そのため、顎関節症は、4つタイプに分類されています。
何が原因なの?
- 「成長とともにアゴが変形してきた」
- 「うつぶせに寝る習慣がある」
- 「アゴの下に手をひいて寝る」
- 「よく頬づえをつく」
- 「アゴが小さく姿勢が悪い」
- 「歯並びやかみ合わせが良くない」
- 「アゴがずれている」
- 「奥歯を抜いたまま放置した」
- 「くいしばり、歯ぎしりをする癖がある」
- 「硬いものを噛むのが好き (フランスパン、スルメ、お煎餅など)」
- 「1日中ガムを噛んでいる」
- 「いつも片方の歯で噛む」
- 「楽器を吹く、バイオリンを弾く」
など当院を訪れた顎関節症になった方の症状や「生活習慣」「癖」です。いずれも、顎関節や咀嚼筋に長時間あるいは慢性的に負荷や負担がかかることで発生しています。顎関節症は、ご自身の生活習慣、癖、ストレス、かみ合わせ、アゴの形、姿勢などの複数の要因が重複してなると考えられています。
どうやって治すの?
顎関節症の治療は、「保存療法」と「セルフケア」です。
【保存療法】
保存療法には「薬物療法」「運動療法」「スプリント療法」があります。
薬物療法
薬物療法は、筋肉痛、自発痛(関節がジーとしていても痛い)、 運動痛(口を開けると痛い、物を噛むと痛い)など、痛みの種類と程度により 消炎鎮痛剤を服用します。タイプ別のI、II型と診断された顎関節症に適応されます。筋肉の痛み、コリが認められる場合には筋弛緩薬も服用することがあります。タイプ別のI型と診断された顎関節症に適応されます。また、シップ剤、消炎鎮痛剤入りの塗り薬を使用することもあります。
運動療法
運動療法には、関節円板整位運動療法と下顎頭可動化訓練があります。
関節円板整位運動療法とは、関節円板がずれてしまった方に円板をもとの位置に戻す運動療法です。タイプ別のIII型と診断された顎関節症に適応されます。
下顎頭可動化訓練とは、関節円板が前にずれたままで関節の骨の正常な運動を 回復させる訓練です。主に、タイプ別のIV型と診断された顎関節症に適応されます。
1日5分から10分、数回行います。1ヵ月は継続し、その後継続が必要か判断します。
スプリング療法
スプリント療法は、歯列を覆う「スプリント」呼ばれる装置を口の中に装着します。タイプ別のすべての型の顎関節症に適応されます。スプリントにより顎関節や筋肉への負担を軽減します。また、夜間の歯ぎしり、くいしばりの予防にもなります。基本的に、夜間使用し2~3ヶ月行います。
セルフケア
セルフケアも大切です。
急性症状(痛みが強い、痛くて口が開かない、噛めない)の時はとにかく安静です。足首を捻挫したときと同じです。硬いものやガムは避けてください。やわらかい食べ物にしましょう。アゴの安静を保ち、口は大きく開けない。冷湿布を貼ります。特に、長時間のパソコン操作、ストレスの多い仕事の場合、 無意識にくいしばりが生じていることがあります。慢性的に負荷がかかると、さらに症状は悪化します。ポイントは、上の歯と下の歯を合わせないこと。離しておくこと。歯と歯が合わないように意識してください。
筋肉のこり、慢性的な痛みの場合は、血行をよくするために、 温湿布やマッサージを行います。また、姿勢や睡眠体位も重要です。椅子に座る時の姿勢、頭を持ち上げて、背筋が伸ばす。就寝時には、アゴや首に負担がかからないように仰向けまたは横向きで、 枕は高いものを避けること。寝ている時もうつぶせにならないように意識することです。
当院に来院される方の多くは、I~III型です。
- I型の場合、薬物療法やセルフケアで約1週間ほどでよくなります。
- II型あるいはI+II型の場合、薬物療法とセルフケアで8割ほどよくなりますが、 さらに
- III型の場合、痛みが強いときは薬物療法ですが、ほとんどが運動療法を行います。
再発もありません。
スプリント療法を併用する場合もあります。
さらに運動療法の効果を高めるためにスプリント療法を併用する場合もあります。
※いずれの場合も、原因となった生活習慣、癖、過度なストレスなども改善する必要があります。
症例1
この患者様は、「舌で触ると歯と歯の間に出来物がある」を主訴に来院されました。特に痛み、腫れ、出血などの自覚症状はなく、いつから出来ていたか分からなかったそうです。ですが、ひょっとしたら悪い出来も「癌」を心配し来院ました。
よく見ると、歯と歯の間の歯肉に白く盛り上がった出来物があります。表面は、ごつごつしています。実は、この病気は、 「乳頭腫」と呼ばれる良性の腫瘍です。「癌」(がん)の様な悪性の出来物ではありません。「乳頭腫」は、口腔内によくみられる良性の腫瘍で、パピロマウイルスが原因で発生する出来物と考えられています。治療は、切除することで治癒します。
症例2
この患者様は、「口の中のあちこちに出来物が出来た。」を主訴に来院されました。最近、体の体調も良くなく、帯状疱疹ができたり微熱が続いたりしているとのことです。
診察すると、上顎や下顎の歯肉や口蓋にブドウの房の様な 出来物が多数出来ています。触っても特に痛みもなく出血もしません。実は、この出来物は、「カポジ肉腫」と呼ばれる腫瘍で、エイズを発症した方に見られる腫瘍です。抗ウイルス薬の投与により、免疫システムの機能の改善が必要になります。
症例3
この患者様は、「右上歯肉の痛み」を主訴に来院されました。ご本人は歯周病ではないかと思い、歯のクリーニングを ご希望されていました。口腔内を拝見すると、右上犬歯と小臼歯の間に潰瘍を伴う 腫脹(腫れ)を認めました。
腫れの中心部は赤みを伴い粘膜が剥がれ、潰瘍となっています。今までの病気と異なり周囲との境界がはっきりしません。この病気は悪性で、 「歯肉癌(しにくがん)」です。まだ、初期の段階なので、手術により治癒することが出来ました。このように、口の中にも悪性の病気「癌(がん)」が発生します。初期の段階では、放射線治療や手術により治癒させることが出来ますが、気付かずに放置してしまうと、病変が成長し進行癌となり「命」を失うことになる場合もあります。